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大人が病気の時は症状によっていろいろな科に行くことがありますが、子供の病気はまず私たち小児科医に |
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相談してください。子供の病気は、大人の病気とはずいぶん違います。子供だけにみられる病気がたくさん |
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あり、治療法も大人とは違います。小児科医は、子供の病気や心の専門家です。目や耳、皮膚の病気につい |
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ても、まず私たち小児科医に見せてください。たいていの問題は解決できます。必要なときは、耳鼻科や |
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皮膚科に紹介します。 |
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主治医となる小児科医を決めたら、病気のときはもちろん、予防接種や乳児健診も依頼しましょう。何度 |
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か足を運んでいるうちに、その小児科医はあなたの子供の身体の特徴や性格を理解するようになり、その |
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子に合った最善の治療を行えるようになります。わからないことが多くて心配で、大きな病院に行こうかと |
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迷ったときにも、遠慮なく主治医に相談して下さい。主治医は医療機関を変えるべき時を、いちばん心得て |
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います。必要とあれば紹介状を書いて、これまでの経過を詳しく伝えます。紹介状がないと、大きな病院の |
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小児科医はこれまでの経過がわからず、困ってしまいます。 |
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小児科医は、あなたの子供の主治医として、おとなになるまで健やかな成長を見守り続けます。 |
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最近日本の子供たちの就寝時間がたいへん遅くなっていることが、問題になっています。睡眠時間が短く |
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なることで、起きられない、食欲がでない、午前中は元気が出ないということが起こってきます。朝は7時 |
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にはカーテンを開けて、朝の陽光を浴びさせましょう。日中は充分に外遊びをさせて、昼寝は長すぎないよう、 |
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夕方も寝かせないようにします。そうすれば、夜も早い時間に眠くなるでしょう。夜、テレビやファミコンで興 |
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奮させると、寝つきが悪くなります。電気の光が、子供の体内時計を狂わせてしまうからです。寝る前の入眠 |
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儀式(本を読むなど)を大切にして、静かな暗いお部屋でゆっくり寝かせてください。子供たちが適切な睡眠 |
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時間をとることができるような環境を整えるのは、大人の責任です。 |
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朝ごはんは、食べていますか?学校や幼稚園が始まると朝が慌ただしいですが、きちんと朝ごはんを食べて |
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いますか。朝ごはんを食べないと、立ちくらみをおこしたり、ぼーっとして遊びや勉強に集中できなかったり、 |
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すぐにキレルなどの症状をおこしやすくなります。朝食は、一日の活力の源です。早寝早起きで、必ず朝食を |
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食べるようにしましょう。 |
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1日にどのくらいの時間、子供にテレビやビデオを見せていますか?もしかすると、1日中点けっぱなしで |
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しょうか?テレビを長時間視聴する子供は、寝る時間が遅くなり、親子のコミュニケーションの時間が短く、 |
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外遊びの時間も少ない傾向にあります。特に乳幼児の長時間視聴は、言葉や情緒面の発達に悪い影響があり、 |
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危険です。 |
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テレビは見たい番組だけを選んで短時間とし、子供と一緒の読書、お絵かき、ままごと、外遊びなどの時 |
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間を大切にしてください。乳幼児に早期教育ビデオを見せるのが将来のためになると信じて、繰り返し見せ |
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ている親御さんがいるそうですが、有害なのでやめましょう。子供には子供の時期にやるべきことがあります。 |
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働き盛りの年代のお父さんたちの中には、仕事が忙しくて帰宅は連日深夜、赤ちゃんの寝顔しか見られないと |
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いう方もいることでしょう。1日中一人で赤ちゃんと向き合っているお母さんも、夜には疲れ切っています。 |
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夫が帰るや否や「今日は機嫌が悪くて泣いて大変だった」「離乳食を食べなくて心配だった」など、話したい |
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ことは山ほどあります。 |
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そんな時、「おれだって仕事で疲れているんだ。育児は君の仕事だろう」という態度は厳禁です。子育て時期 |
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の夫の最大の役割は、妻の言葉に耳を傾けることです。夫から、「今日も一日大変だったね」と言ってもらえ |
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るだけで、お母さんの気持はとても和らぐことでしょう。夫に支えられているという安心感が、お母さんの |
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気持を安定させます。 |
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冬の寒くて長い夜に、親子で読書はいかがですか?自分一人でも読めるようになった子供でも、お父さんや |
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お母さんが一緒に読んでくれると、とても喜びますよ。声を出すことで、読む者と聞く者が純粋な楽しみを |
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共有することができます。そして子供は、本を読んでもらうことによって、確かに愛されているという温かい |
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思いを感じることができるでしょう。 |
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子どもの脳は3歳までに大方できあがる、といわれています。お母さんお父さんが、人生でいちばん最初 |
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のいちばん大切な教師です。いくら教育的なテレビやビデオでも、たとえ赤ちゃんが喜んで見ているとしても、 |
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テレビやビデオは一方通行です。赤ちゃんの気持ちには答えてくれません。最近、長時間テレビを見ている赤 |
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ちゃんのことばの遅れが問題になっています。「あっ、あっ」と赤ちゃんが声を出したら、「あっ、ブーブーだ |
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ね」などと声をかける。そんなやりとりがあってこそ、赤ちゃんはことばを身につけていくのです。 |
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クリスマスプレゼントに「絵本」を、どうぞ。 |
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日本の乳児死亡率の低さは、国際比較でも最高水準にありますが、不慮の事故および有害作用による死亡 |
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率は高く、不慮の事故は日本の1歳以上の子供の死亡原因の1位を占めています。死亡事故の内訳の1位は、 |
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交通事故で、2位は溺死です。乳幼児の溺死の多くは、自宅風呂場の浴槽での事故です。お風呂に残り湯をす |
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る習慣がある日本で多く見られる事故で、保護者が目を離したほんのちょっとの隙に一人で風呂場に入り、浴 |
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槽に転落するというパターンです。予防のためには、浴室で遊ばせない、浴室の戸に鍵をかけて開かないよう |
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にする、浴槽に残り湯をしない(少量の水でも危険なので完全に流す)、子供だけで入浴させないことなどが |
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大切です。 |
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幼児から学童期にかけては、プール、海、湖などでの事故が多く見られます。ライフジャケットを着用する、 |
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禁止区域では絶対に泳がないように指導する、保護者が必ず付き添うことなどが大切です。 |
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夏は水の事故が多くなります。十分に気をつけて下さい。 |
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イオン飲料は健康に良いイメージがあるせいか、コマーシャルの影響からか、健康な乳幼児にも与えるお |
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母さんを見かけます。イオン飲料は嘔吐下痢症の脱水の予防や治療、激しい運動時、高温環境下で大量の汗 |
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をかいたときの水分補給には大変有効です。 |
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しかし、子供さんが元気で、食事や母乳、ミルクなどが普通に摂取できる状態では全く必要ありません。 |
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むしろ、イオン飲料の飲みすぎは肥満の原因になったり、食欲不振をおこしたりします。甘みが強いので習 |
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慣化しやすく、虫歯の原因にもなります。 |
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「小児科と小児歯科の保険検討委員会」は、次のような提言を出しました。通常の生活上での運動や汗を |
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かいたときには、水を与える。イオン飲料を水代わりに使用しない。寝る前や夜中にイオン飲料を与えない。 |
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水を飲まないと脱水症状になるのではと心配されるお母さんがいますが、母乳やミルクを普通に飲んで尿 |
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が出ていれば、無理に水を飲ませる必要はありません。 |
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最近13年間で17人もの、コンニャクゼリーによる窒息死の報告があります。乳幼児や高齢者はもちろんの |
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こと6、7歳の子供にも食べさせない方が無難でしょう。(6、7歳の子供が4人も死亡しています) |
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給食のパンをのどに詰まらせた事件も、あります。日頃から家庭で、よくかんでゆっくり食べるように躾 |
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けることを心掛けましょう。 |
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VPDとはvaccine(ワクチン)preventable(防げる)disease(病気)の略です。すなわち、ワクチンで |
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防げる病気です。 |
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日本では毎年多くの子供たちがワクチンで防げるはずの病気にかかって、重い後遺症に苦しんでいたり、 |
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命を落としたりしています。多くの感染症がありますが、ワクチンで予防できるものはわずかです。防げる |
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病気だけでも予防して、大切な子どもたちの命を守りましょう。 |
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日本は以前、無料で受けることができる予防接種の種類が少なく、予防接種後進国といわれていましたが |
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現在はだいぶ増えてきました。しかし「おたふくかぜワクチン」は、まだ定期接種に入っていません。 |
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かかってしまった時には治療薬がなく、難聴や髄膜炎などの合併症が出ることがあります。 |
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予防接種で防ぐよりもかかった方がよいという考えは、絶対にやめましょう。 |
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子宮頸がんワクチンを接種しましょう |
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先日の新聞に、15~39歳の若い人のガンは女性に多く(全体の78%)、中でも最も多いのが子宮頸がんで |
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あるという報告が載せられていました。しかし、子宮頸がんの原因がパピローマウイルスであって、予防 |
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接種で防ぐことができることは書かれていませんでした。 |
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現在日本では、子宮頸がんの予防接種は定期接種であるにもかかわらず、副作用の懸念から積極的勧奨に |
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なっていないこともあり、接種する人が非常に少ないのが現状です。多くの先進国で接種され、それらの |
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国々では子宮頸がんの発症率が非常に少なくなっているのに、日本だけが増え続けています。 |
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小学6年生~高校1年生までの期間は定期接種ですので、無料で受けられます。ぜひ接種してください。 |
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夜になって急に赤ちゃんの発熱に気付いたら、皆さんはどうしますか。熱さましを飲ませて様子を見ます |
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か?夜間救急に連れて行きますか?少子化とはいえ、夜間でも、小児科のある病院で診てもらいたいという |
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要望が多いことから、小児科のある病院の夜間診療は多忙を極めています。一方で、小児の救急受診者の内 |
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9割は軽症と診断されています。軽症患者の対応のために重症患者の処置が遅れる、という事態も起こって |
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います。 |
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もちろんご両親は医者ではありませんので、軽症と重症の判断が難しいときもあると思いますが、いった |
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ん落ち着いて子供の状態をみてみましょう。熱が高くても、あやすと笑う、手足をよく動かす、おっぱい又 |
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は水分がある程度とれる、といった状態であれば、あわてて夜間救急に連れて行く必要はありません。翌朝の |
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受診で充分です。 |
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その逆に、熱はさほど高くなくても、顔色がひどく悪い、呼吸が苦しそう、ぐったりして動かない、意識 |
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がはっきりしない、嘔吐で水分が全く取れないような場合は、すぐに診てもらう必要があるでしょう。熱の |
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高さではなく、どれくらい病的に見えるかということのほうが大切です。 |
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これを見極めるには、市から配布されているパンフレット「小児救急に行くその前に」が役に立ちます。 |
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熱やせき、嘔吐などの症状ごとに対処法がわかりやすく書かれています。ぜひ、お役立てください。 |
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子供が病気になったとき、「少し良くなってきたけれど、まだ保育園に行かれるほど元気じゃない。微熱 |
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もある。でも、仕事もあるし…」などと困ったことは、ありませんか。こんな時に、病気の子供を預かって |
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くれる施設があると安心ですね。八王子市にも数か所の病後児保育施設があります。 |
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当院からいちばん近いのは、川口町の「からまつ保育園」に併設されている「からまつキッズウイングルー |
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ム」です。お子さんが病気の回復期にあり集団保育が困難である期間、一時的に預かってくれます。私も見学に |
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行ったことがありますが、看護師さんと保育士さんがいて、設備も整っており、お勧めできます。子供が元気な |
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うちに登録しておき、いざとなったときにあわてないようにしておくのがよいでしょう。 |
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ご両親が看病してあげられるのがいちばんいいのはもちろんですが、それができない場合の次善の策として有 |
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効です。当院にもパンフレットがありますので、看護師にお尋ね下さい。 |
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暑くなると「あせも」や「とびひ」などの、肌のトラブルが多くなります。
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赤ちゃんは特に汗かきなので、できるだけ涼しく風通しのよい環境をつくる、こまめにシャワーをする、 |
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適度に冷房を使うなどして「あせも」を防ぎましょう。 |
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虫に刺されたあとを掻き壊して「とびひ」になることがあります。これは、爪についたブドウ球菌という |
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バイキンが原因です。爪は短く切り、いつもきれいにしておきましょう。「とびひ」が広がると、内服の抗生 |
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剤が必要になることもあります。 |
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「水イボ(伝染性軟属腫)」も、夏に流行る皮膚の病気です。原因はウイルスで、掻くことによりウイル |
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スが広がっていきます。アトピー性皮膚炎などによって皮膚がかさついていると、うつりやすくなります。 |
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水イボ自体は悪い病気ではありませんが、掻きこわして「おでき」様になることがありますので、数が少な |
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いうちに取ってしまった方がよいでしょう。放置しておいても、数ヶ月から数年で免疫ができて、自然治癒 |
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します。痛みを和らげる麻酔テープを貼ってから取ることもできます。詳しくは看護師にご相談下さい。水 |
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イボがあってもプールに入れないことはありませんが、浮き輪やビート板、タオルの共有はやめましょう。 |